阪神が17日、2位で並んでいた広島との一戦で敗れた。先発西勇輝投手は好投を続けたが8回に逆転を許した。9回は後続投手陣が大量失点。日刊スポーツ評論家・梨田昌孝氏が見た敗因は…。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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阪神が今シーズン3度目の逆転負けを喫した。最後は糸の切れたたこのようにゲームは崩れた。

梨田 広島をさらに勢いづかせた感の強い一戦になってしまった。カード3連戦の“頭”というのは、できるだけこういう一方的にやられるゲームは避けたかったところ。ポイントになった8回の点のとられ方に悔いが残った。

7回終了時点で、西の球数は84球。8回1死から代打松山に四球。1番野間の打球が一塁手マルテを強襲して一、二塁になった(記録は安打)。続く菊池涼に同点の左前打、バティスタの左前打で引っ繰り返された。

梨田 まず8回1死からの松山の四球はもったいなかった。その後のマルテの一塁守備が西を力ませてしまう。野間の打球をはじいたのだが、記録はヒットになったとはいえ、あれで西の心理は微妙に揺れたはずだ。いわゆるゲームの潮目が変わった瞬間だったといえる。

8回1死一、二塁。菊池涼の同点打はカウント3-2からのシュートだった。バティスタにはすかさず初球を狙われた。

梨田 西という投手は力むとやられる負のゾーンに入っていく。それまで好投していただけになおさらだ。菊池にはうまく打たれたが、ストライクが欲しいカウントにしてしまった。同点で止めたかったが、バティスタにも外角球に長いリーチを生かされた。それに4回2死からも、バティスタの打球が一、二塁間を抜けていくわけだが、私にはマルテが処理できる打球にみえた。あの後も西は鈴木に四球、西川に先制打を許した。西の4回と8回の失点は、同じパターンだったといえるだろう。