阪神対広島 グラウンドに整列しファンにあいさつする阪神ナイン(撮影・上山淳一)
阪神対広島 グラウンドに整列しファンにあいさつする阪神ナイン(撮影・上山淳一)

阪神が安打数では広島を上回りながら、今季5度目の完封負けを喫した。広島戦に連敗し、今季甲子園では8勝12敗と昨年に続き、苦戦が続いている。日刊スポーツ評論家の山田久志氏が解説した。

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ヒット数は阪神が広島より1本多い8安打だが、スコアは0-4。その結果を招いたのは、阪神が「120%やってはいけないミス」を1試合で3つも犯して、流れを手放したからだ。

1つめは3点を追う4回1死一塁、北條の見逃し三振だ。フルカウントでサインはランエンドヒット。足の速くないマルテが走っているのだから、少々ボール気味でも際どいコースは絶対振らないといけない。120%、ボール球と判断できない限りはね。見逃し三振でマルテが盗塁死する最悪の併殺はあまりに痛い。

2つめは5回、近本の二盗失敗だ。3点差なので走者をためて中軸に回したい。走るにしてもギャンブルではなく、120%の確率で成功しないといけない場面だ。調子の良くないジョンソンは1点ずつでも返しておけば、崩れていた可能性が高かった。まずい攻めの連続で助かっただろう。

3つめは6回、メッセンジャーが浴びたバティスタの1発だ。2死走者なしの2ナッシングで、120%投げてはいけないド真ん中。初回西川に浴びた3ランはうまく打たれた部分もあるが、絶対やってはいけない4点目で勝負は決した。

3つのミスに共通するのは状況判断の甘さだ。この場面では何をすべきで、何をしてはいけないのか。そのヘッドワークが足りなかった。ほぼ完璧だったメッセンジャーのスキを逃さず、2発で沈めた広島のような破壊力があれば別だ。だが現状の攻撃力では攻守の小さなミスが命取りになる。広い甲子園では、つないで勝たないといけない、守り勝たないといけない。本拠地での借金4の要因がそこにある。

阪神対広島 6回表広島2死、ランディ・メッセンジャーはサビエル・バティスタに左越え本塁打を浴び苦笑い(撮影・上山淳一)
阪神対広島 6回表広島2死、ランディ・メッセンジャーはサビエル・バティスタに左越え本塁打を浴び苦笑い(撮影・上山淳一)