阪神高橋遥、広島床田の投げ合いは1対0でケリがついた。どちらも打てない打線だが、両左腕の投手戦は見応えがあった。

山田 高橋、床田の若い2人のイキの良い投げ合いをみせてもらった。同じサウスポーといってもタイプが違う。高橋は「角度よりキレ」、床田は「キレより角度」に特長があって上からたたくように投げる。高橋のほうは体が沈んで粘りながら移動してキレで勝負する。指に引っ掛かったときは左打者には逃げ、右打者には食い込むような軌道を描く。広島サイドの振りの鈍さも気になるが、場慣れすれば、風格を感じさせる投手に育つだろう。

8回のイニングは、プロ最長となる未開のゾーンだったが、被安打4、計114球を投げきった。

山田 高橋に将来性を感じる点は、いわゆるマウンドさばきだ。無駄な動きがない。ボールを受けてから投げるまでの間隔が早すぎず、遅すぎず、しぐさ、リズムが良い。それでいて走者がでても慌てない。この投球する際の“間”というのは教えられてできるものではない。このリズムの良さがバックの堅い守りを招いた。

トラの子の1点は7回、4番大山にバントを命じたが、それを失敗した直後の適時二塁打。なおも無死二塁からマルテ、梅野の凡退に走塁ミスが絡んで追加点は奪えなかった。

山田 大山にバントさせたのだから、マルテには代打起用で再びバントで送るべきではなかったのか。1点をとったら、2点目をとりにいく、そこに一貫性は伝わってこなかった。

巨人追走に高橋遥のような若手台頭は大きい。

山田 これからの育て方によってはエースになる可能性を感じさせる。育成法? まずは変に触らないことだ。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】

力投を続ける床田(撮影・清水貴仁)
力投を続ける床田(撮影・清水貴仁)