崖っぷちに立たされていた阪神の“寿命”が伸びた。9回に大山が右越えの勝ち越し本塁打を放ち、藤川が8回&9回を封じて、何とか踏みとどまった。

権藤 藤川をリードもしていないのに、8回から突っ込んでいくのはセオリーとはいえない。でもマウンドに立った藤川は、技術うんぬんではないところも含めて百戦錬磨だよ。巨人の追撃を許さなかった。そこで大山のホームランが飛び出したのだから、藤川の投入が刺激になったというしかないだろう。

大山は4打席目の7回にCSファイナルで初ヒットになる、ボテボテの内野安打をマーク。5打席目に価値ある1発が飛び出した。

権藤 ここが1年の集大成なわけで、大山にはあれぐらい飛ばせる特長があるのだから、その前の情けない結果に終わった打席でも、もっと積極的に打ってほしかった。

阪神は5回に3点ビハインドをひっくり返したのが大きかった。巨人2番手桜井から3四死球で無死満塁の好機をもらうと、高木から高山、梅野、近本が適時打で5点が入った。

権藤 巨人の自滅だった。巨人にいえるのは、日本シリーズ進出に王手がかかって無心になれなかったということだ。確かに投げるピッチャーも情けないが、慎重になり過ぎた捕手炭谷のリードも疑問だった。阪神は総動員のつもりだっただろうし、打ち合いでは負けるから、もはやがむしゃらにいくしかなかった。

台風接近によって生まれた「空白の1日」がどちらに有利に働くのか…。

権藤 これで阪神に勢いがついたとは思えないし、巨人優勢は動かない。もともとがやられてしまっていた身なのだから破れかぶれしかない。【取材・構成=寺尾博和編集委員】