ソフトバンク打撃陣の奮起が目立った。シーズンでは、故障などで納得のいかない成績に終わった主軸が、勝負の短期決戦に本領を発揮した。柳田をはじめ、今宮、中村晃が、ここにきて結果を出したのはさすがだ。楽天相手の3戦とはまったく違う姿でファイナルで打ちまくった。

さらに楽天、西武との違いは「自己犠牲」の精神にあった。楽天、西武ともに無死二塁の場面から次打者が走者を三塁に進めることができなかったことがあった。しかし、ソフトバンクはファイナル第2戦で無死二塁から柳田が二塁打で出塁すると、デスパイネが右狙いで、右中間への適時二塁打を放った。さらに中村晃も無理に引っ張りにいって2ランを放った。自分がアウトになってもいいから走者を進めようとして最高の結果が出た。さらに、この日内川がバント失敗で三振に倒れても、甲斐が適時打を放つなど、ミスをカバーする打撃も光った。

西武投手陣は調整失敗なのか悪すぎたという面もある。ソフトバンク打線が気持ちよくバットを振っていた。対してソフトバンク投手陣は千賀はもちろん、中継ぎでも高橋純や甲斐野が、走者を背負っての登板で失点を許さないなど、経験が少ないながらチームを救ったのも勝因だった。(日刊スポーツ評論家)

4回表ソフトバンク1死一塁、甲斐は左翼線へ適時二塁打を放つ(撮影・栗木一考)
4回表ソフトバンク1死一塁、甲斐は左翼線へ適時二塁打を放つ(撮影・栗木一考)