オープン戦が本格的にスタート。巨人は22日の日本ハム戦(タピック名護)で11安打で6得点を挙げ勝利した。育成のモタ、ベテラン中島らの活躍があったが、日刊スポーツ評論家の篠塚和典氏(62)はチーム力の底上げへ、若手選手の課題を指摘した。

   ◇   ◇   ◇

モタのソロで点差を2点に広げた直後の8回無死二塁。ここで3年目の湯浅はカウント1-0からの2球目を左翼へ2ランとした。チャンスをつかみたい若手とすれば、最高のアピールと感じただろう。

この場面、試合展開を考えた時に若手が何をすればいいか、深く考えるきっかけにしてもらいたい。

湯浅は1発を狙えるタイプではない。そして、無死二塁ならば、いかにして1死三塁をつくるか、そこを念頭に置いて打席に入ってほしかった。ベンチは指示を出していなかった。つまり、湯浅の試合を読む力を試したとも言える。

湯浅がそこに気づき、5点目を奪う形にして後ろにつなぎ、チームに貢献することが、真の意味でチームの底上げにつながる。しかし、バントの構えもなく、逆方向へ打つ気配もなかった。結果は2ランという見事なものになったが、厳しいペナントレースで同じ状況ならどうしたか。そこを深く突き詰めてもらいたい。

ベンチが指示を出せば、湯浅が自身で状況判断できなくなる。元木ヘッドコーチは現役時代から、そうしたところを抜け目なくつける選手だった。元木ヘッドがどうやって湯浅にそうした気づきを促せるか、それも必勝を課された巨人の課題といえる。原監督はすべてそうした大局を眺めながら、若手にチャンスを与えている。ここからは、細部を突き詰め、細心の注意を払い、流れを読むことに腐心してもらいたい。(日刊スポーツ評論家)