日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(66)がオープン戦の本塁打ゼロが決定的となった阪神ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)の「浮上プラン」を提言した。またボーア不在の非常時に備えて大山三塁、マルテ一塁の布陣を組む必要性も説いた。メジャー通算92本塁打の新4番候補はオリックス戦で3打数1安打だった。

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本来ならば、開幕戦に向けた最終調整の場だが、打線の並びはこれでいいとは思わない。特にボーアの打撃には疑問符がつく。初回の打席は、初球の外角ストレートを見逃した。打ちにいく姿勢を見せて見送るならいいが、打とうというそぶりが見られなかった。最初から相手の投球を受けてしまっている。これではタイミングを合わせづらい。2球目の直球に詰まって、右飛に倒れた。3打席目は走者を2人置きながら、高めの球を簡単に打ち上げた。相手も警戒している場面で、当てにいっている。上体が伸び切った感じで、自分のスイングができていない。

長打が出ない状況で、首脳陣も危機感を持っているはずだ。こういう場合、調子を上げるための工夫が必要になる。日程に余裕ができたことで2、3打席で途中交代しているが、フル出場させて、より多くの打席に立たせるべきだ。試合の前半は相手もローテーション投手が登板し、結果が出ないこともある。2番手以降は若手投手を試すケースも多いので、そこで打てば、自信を取り戻せる。1番で使うのもいいだろう。フルで打席に立たせて、翌日は休養や代打起用も視野に入れて調整したほうがいい。この日は3打席で5球だけ。これでは練習にならない。

キャンプから一塁はボーアありきで取り組んできたが、他のオーダーを検討する時期に来ている。この先の練習試合でボーアを指名打者や休養を与えた時に、大山三塁、マルテ一塁の布陣も試すべきだろう。2人は状態がいいし、阪神は左打者が多いので、サンズを加えた右打者3枚のオーダーも実戦で想定したほうがいい。守備力を考えても、三塁はマルテよりも大山のほうが上だ。開幕すれば、ボーアは打ちだすかもしれないが、そこは分からない。矢野監督も考えているだろうが、いろいろ手を打っておかないといけない。