お待たせ1号! プロ野球は首都圏と関西で練習試合を再開し、阪神の新助っ人ジャスティン・ボーア内野手(32)が対外試合初アーチを放った。
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甲子園のネット裏から見たボーアのホームランは完璧だった。広島2番手の藤井皓に2ストライクを取られたのは2球ともストレートで、いずれもファウルになった。ここまでなかなか打球が上がらなかっただけに待望のアーチだったといえる。
ただ手放しで喜べないと思ったのは、続く第3打席の内容が芳しくなかったからだ。5回。代わった高橋樹から放たれた二ゴロの球種は同じストレートだった。やや内寄りだが、決して難しいコースではなかった。それが凡ゴロで打ち取られてしまった。
本来ならホームランに気をよくして、次の打席でもいい当たりが続いてもおかしくない。それが予想に反して甘めの球に凡退だった。3番マルテ、4番ボーア、5番サンズは開幕戦を想定しての並びだろうが、ボーアがみせた「明」と「暗」に評価は先送りするしかない。
3カ月遅れの開幕を見据えて組まれた練習試合の初戦だが、阪神、広島とも全体的にスイングの鈍さが目立った。どのチームにもいえることで、紅白戦などで調整しても「生きた球」を打つ感覚は違うから、できるだけ打席に立つ必要性を感じた。
また、無観客の甲子園で行われた練習試合は、なんとも閑散とした雰囲気で進んだ。これが開幕からも続くようで、投手、野手にかかわらずテンションを上げるのは難しい。これだけ静かなムードだと、投手と打者とも慎重になって四球が多くなるのでは…などと勝手に想像していた。
そこはだれも経験したことがないのだから分からない。何試合かこなせば慣れてくるのかもしれない。ボーアがいかに日本野球に順応して調子を上げるかも含め、限られた時間での本番までの調整が開幕ダッシュの成否にかかってくる。
(日刊スポーツ評論家)