最後はヤクルトに突き放されたが、実際は競り負けだった。今季20試合目。リリーフのやりくり勝負になった一戦に耐えることができなかった。

中西 開幕からずっと続いているのは、同点、あるいはビハインドで投げるピッチャーのところだ。新外国人ボーアが打ちだしたことでチームの得点力が上がっているだけに、その役割を担うピッチャーを早く作りたいところだ。この試合でいえば、先発ガルシアをリリーフした「7回」の人選、見極めはポイントだった。

同点に追いついた直後の7回。2番手につぎ込んだのは伊藤和。代打川端の中前打と坂口の犠打、荒木に粘られて四球で一、二塁。そして、3番青木に右前打で満塁のピンチを招いてしまった。前日14日の同カードで「7回」をつないだのは馬場だった。

中西 青木に打たれたのは1-2から高めに抜けたフォークだ。せっかく追い込んだにもかかわらず、あの場面で絶対投げてはいけない球だった。もちろん馬場の投入でも良かった。しかし一方、「7回」をつなぐピッチャーを模索しているベンチの意図も理解ができた。だから伊藤和を選択したのだろうが、あそこで投げる球としては甘すぎたと言わざるを得ない。

7回1死満塁。伊藤和に代わった能見が、まんまと4番村上に中前2点打を浴びてしまった。

中西 かつてJFK(ウィリアムス、藤川、久保田)が勝ちパターンだったシーズンは、同点、ビハインドで江草、桟原、橋本がフル回転してくれた。昨季その役をこなしたのが、守屋、島本。今年はまだそこが固まらない。リリーフの“1球の重み”を思い知らされた1敗といえる。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】