阪神秋山拓巳投手(29)が大量援護をもらって、18年5月8日巨人戦(東京ドーム)で完封勝利して以来、812日ぶり自身6度目の完投勝利をマークした。チームはこれでカード初戦に8連勝。日刊スポーツ評論家の中西清起氏(58)がチーム好調の要因を解説した。

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これだけ打ちまくっても「1勝」に変わりはない。ただ秋山が自身3連勝で先発ローテーションを守った。ヤクルト、DeNAと続く6連戦でリリーフ陣も温存できた。

中西 制球力が持ち味の秋山にしてはゾーンが高かった。2回に村上、山崎の短長打、7番宮本に右越え3ランを浴びて4点差にされたが、味方の大量援護に守られた。ベンチが9回を投げきらせたのも当然だろう。阪神は投打に「戦う形」が整ったといっていい。

阪神は8カード連続でカード初戦の“頭”をとった。うち7試合に先発に勝ちがついた。7月10日DeNA戦(甲子園)で青柳は5回を投げて降雨コールドになったが、あとの7試合は全先発投手が「6回」をクリアし、ゲームを作る役割を果たしたといえる。

中西 カード初戦をとるということは3連敗がないし、チームに勢いがつきやすい。ベンチとしては先発がクオリティースタート(6回以上投げて自責点3以下で抑える)を達成すると継投のやり繰りがしやすくなる。逆に、この日のヤクルトは序盤から四球、失策のミスが続出する悪循環で、先発イノーアが2回で沈んで終始後手に回った。

これだけ打ちまくると逆に不安になってくる。「明日に残しておけばいいのに…」などと思ってしまうのが心情だろう。

中西 ボーア、サンズの両外国人を中心に効果的に点がとれるようになったことが先発に好影響を及ぼしている。近本の出塁率が上がってきたのも強み。もともとわたしはヤクルト、中日は下位に予想していたほうだ。来週火曜日からの巨人戦を見据えたとき、ヤクルト、DeNA戦は勝ちきりたい。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】

ヤクルト対阪神 2回表阪神2死満塁、ボーアは右越え満塁本塁打を放ちグラウンドのナインに向かって指をさす(撮影・加藤哉)
ヤクルト対阪神 2回表阪神2死満塁、ボーアは右越え満塁本塁打を放ちグラウンドのナインに向かって指をさす(撮影・加藤哉)
ヤクルト対阪神 4回表阪神2死満塁、サンズは右翼に満塁本塁打を放つ(撮影・浅見桂子)
ヤクルト対阪神 4回表阪神2死満塁、サンズは右翼に満塁本塁打を放つ(撮影・浅見桂子)
ヤクルト対阪神 完投勝利を決め、笑顔でナインを迎える秋山(右)(撮影・浅見桂子)
ヤクルト対阪神 完投勝利を決め、笑顔でナインを迎える秋山(右)(撮影・浅見桂子)