阪神は広島のポジショニングによって勝ちを手に入れることができた。延長10回2死一、二塁。広島フランスアに対した大山が3ボールから打ってでた当たりは、前進して構えた右翼手鈴木の頭上を越えた。

広島サイドは、勝ち越される走者(近本)を二塁に進めたことから、外野を前に上げたのだろう。しかし、そこは確率の勝負で、大山という打者のタイプを判断する必要があった。

大山という打者は軽打でなく振ってくるタイプといえる。守る側は「前にゴロで抜けてくる」「頭上を突かれる」のいずれかを想定したはずだ。つまり広島サイドとすれば定位置のポジショニングをとるべきだった。

広島バッテリーが大山を追い込んでいれば、外野をやや前に上げることはあったかもしれない。広島サイドのポジショニングのチョイスミスが、どちらかというと打ち損じた大山の打球をまんまと三塁打にしたということだ。

また阪神で気掛かりなのは糸井のバッティングの内容だ。もともと左肩が下がりながら打つほうだが、下がったままバットも下がっている。近本、サンズが好調をキープしているが、カギを握るのは糸井とみている。ここは修正して臨んでほしいものだ。(日刊スポーツ評論家)

広島対阪神 10回表阪神2死一、二塁、大山(左)は右へ2点適時三塁打を放ち三塁で藤本内野守備走塁コーチとグータッチ(撮影・上山淳一)
広島対阪神 10回表阪神2死一、二塁、大山(左)は右へ2点適時三塁打を放ち三塁で藤本内野守備走塁コーチとグータッチ(撮影・上山淳一)