13日の広島戦が雨天中止となり、日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(67)と桧山進次郎氏(51)がセ・リーグ5球団との対戦が一回りした阪神の現状を分析した。首位快走の原動力や今後の課題に触れつつ、リーグVへの展望を解説した。

     ◇     ◇     ◇

阪神西勇、広島森下のスライド先発は順当といえる。突っ走りたい阪神にとっては苦手投手を作りたくない。一方の広島は阪神の勢いを止めたいはずで、どちらにとっても負けられない仕切り直しになった。

プロ2年目の森下は、阪神戦に限らずピンチを迎えるとさらにギアの上がったメリハリの効いた投球術を身につけた。どの球種も精度が高く、フィールディングも上達している。

阪神は1、2番が機能するか否かが1つのポイントになる。近本が出塁し、糸原がつないでクリーンアップに回す攻撃ができれば理想的。広島バッテリーも警戒してくるから両軍の駆け引きも注目される。

ここからは各チームとも外国人が合流してベストメンバーを整えてくる。現有戦力で戦ってきた阪神も今後のアルカンタラ、ロハスの加入がマイナスに働くことはないだろうから戦力層はさらに厚くなる。

ただチームの戦い方としては、昨シーズンと違って“節目”が多い。5月下旬からセ・パ交流戦が行われ、7月は東京五輪で一時中断のイレギュラーな日程が組まれて“潮目”が変わりやすい。

阪神は本当にいい戦いができている。今季はメンバーを固定できるのも強みだ。どのチームにも決め手がないのも確か。なかなか独走は難しいから、まずは安定した戦いをしている広島をたたいておきたい。(日刊スポーツ評論家)

井上ヘッドコーチ(左)と打撃談義をする矢野監督(撮影・上田博志)
井上ヘッドコーチ(左)と打撃談義をする矢野監督(撮影・上田博志)