最終回の巨人、阪神の攻防は、どちらも硬くなっている様子だった。ペナントレースも終盤にきて仕方のないことだが、巨人メルセデス、阪神西勇の両先発の拙い点の取られ方が試合を雑にし、ゲームをもつれさせる典型的なパターンになった。

その9回表、1点を追う阪神は巨人ビエイラを攻めて同点にした。なおも無死二塁で佐藤輝に代打島田を送ったのは、バントだから仕方がなかった。その後を抑えたビエイラだが、復帰即登板で投入するには酷な場面で、もう少し配慮があってもよかった。

続く9回裏1死満塁ではショート中野が6番丸の三遊間に抜けそうなゴロを好捕し、本塁封殺した。新人のビッグプレーがこの一戦のすべてだ。続く中田も遊直に倒れて、巨人にとっては負けに等しい引き分けで、阪神はよく踏みとどまった。

巨人は打力が上昇してきたから連勝のチャンスがあるとみていたが、この投手力では厳しいと言わざるを得ない。また阪神は巨人の投手力がもろすぎるから得点できた。

左のメルセデスが先発だったから、やや上向きだった大山を4番に起用したのだろう。マルテは3番のタイプで4番は厳しい。調子が良ければサンズだが、現時点でそこに適している人材が見当たらない。

また阪神先発西勇の投球からは調整不足がみてとれた。ツーアウトから5点も取られるはずではないのに、もったいなかった。チームが敗れていればいやなムードだっただけに、負けなかったからよしとすべきだろう。

ヤクルトが上位にいるのは投手を中心に守っているのが大きい。巨人は投手力は弱いが、打者陣の動きが良く、連覇という経験を生かせるか。阪神は一にも二にも攻撃力が浮上のカギを握っている。(日刊スポーツ評論家)

巨人対阪神 9回表阪神無死二塁、サンズに同点の適時二塁打を浴びるビエイラ(撮影・たえ見朱実)
巨人対阪神 9回表阪神無死二塁、サンズに同点の適時二塁打を浴びるビエイラ(撮影・たえ見朱実)