阪神はこれで巨人との直接対決を10勝9敗2分けとし、1つ勝ち越した。矢野監督は9回をスアレスでなく、高橋に託した。

吉田 監督の心理とすれば、高橋の初完封もかかっていたし、スアレスがここにきて中日、巨人の2試合を簡単に抑えきれていないことも引っかかっていたはずです。その選択が高橋に投げきらせることだったが、8回に2点を加点して踏ん切りをつけやすくなった。9回は1死満塁のピンチにヒヤリとしただろうが高橋が抜群のキレで粘り強く投げた。わたしは投打どちらかにだれかヒーローが出てこないと苦しいと思っていたから、高橋が出てきて大野雄(中日)、菅野に投げ勝ったのは大きいです。

尻上がりの巨人菅野だったが、7回1死から5番糸原の本塁打という予想しづらい点の入り方になった。

吉田 糸原がよく打ちました。元々はつなぎの選手だが、それだけにダメージを与えた。ただ気になっているのはサンズの精神面です。確かに9月に入って極端に打率を下げているし、本塁打も出ない。開幕からチームを引っ張ってきた打の中心選手。いやな顔を見せず一塁を守るし、7番に下がっても、黙々とプレーする。少なくとも糸原の後を打つ選手ではない。この1勝も監督が高橋を信じた結果です。いかに選手を信頼して起用ができるか。特にサンズを生かせるかは大きなポイントでしょう。

巨人戦は26日のカード3戦目を入れて残り4試合。カード1勝1敗1分けではこの日競り勝った意味を失ってしまう。

吉田 巨人はやりくりはしているが苦しい。ヤクルトは一丸になって、もっとも雰囲気がいい。でも阪神は巨人戦に勝ち越せば、黙っていても勢いはつくはずですわ。ヤクルトをひっくり返し、その勢いでいくとして残り試合を考えると、気が早いかもしれないが、10月5日からのDeNA、ヤクルト6連戦でマジック点灯と、わたしは読んでます。【取材・構成=寺尾博和編集委員】