阪神、巨人の先発は両極端だった。無四球が示すように伊藤将は高い制球力で粘りの投球。

一方の高橋は2回に下位打線に3四球を与えて崩れる独り相撲ともいえる自滅ぶりだった。

しかも巨人は坂本がいないとガタガタですな。リリーフ陣がなんとか踏ん張ったが、阪神が序盤にリードした4点は大きく、伊藤将が2つの併殺をとるなど反撃を許さなかった。

ここまで最下位の阪神は、他チームと比べて実力差があるとは思わない。対ヤクルトの開幕戦で7点差をひっくり返された1敗を引きずってしまったように見えた。

それが打線、ポジションの固定に至らず、監督の“ためらい”につながったのではないだろうか。戦力的に投打とも後れを取っていないのに、選手は居場所が決まらないまま力を発揮できなかった。

確かにシーズン47試合を消化し、目の前に突きつけられた17勝29敗1分けの数字は重い。ただ過ぎ去ってしまったものは仕方がないと割り切りたい。そして24日からの交流戦で流れを大きく変えたい。

ポイントになるのは近本だと踏んでいる。大山も、佐藤輝もいるが、阪神打線の顔は近本。固め打ちもできるし、3番ではなく、1番に固定し、リードオフマンの役割をこなしてほしい。

パ・リーグとの計18試合で借金を5にまで返すぐらいの戦いをしてほしい。交流戦は13勝5敗がノルマ。なにも不可能ではない。矢野監督にもどっしりと腰を据えて戦い抜いてほしいものだ。(日刊スポーツ客員評論家)

阪神対巨人 お立ち台で笑顔を見せるヒーローの阪神近本(左)と阪神伊藤将(撮影・上山淳一)
阪神対巨人 お立ち台で笑顔を見せるヒーローの阪神近本(左)と阪神伊藤将(撮影・上山淳一)