交流戦で、巨人がソフトバンクに2連敗した。対戦はまだ1試合残っているが、私だけでなく「巨人はソフトバンクに弱い」というイメージがあるのではないか。負け方を見ても「力負け」しているという印象が強い。

なぜ「力負け」するイメージが強くなるか、今試合に象徴されていた。3失点ずつした4回と5回、打たれた6安打はすべて、内角を攻めて打たれたもの。「攻めた」というと語弊があるかもしれない。内角を攻めようとして甘くなった球を痛打された、と言い換えた方がいいだろう。

まず、巨人の先発・赤星の特性を考えてほしい。そこそこの球威はあるが、力でねじ伏せるタイプではない。内角へ投げる直球系の球は、ボールゾーンへの「見せ球」として使うのが基本で、決して甘くならないように気をつけなければいけない。

そしてソフトバンクの打者は、真っすぐを待って変化球に対応するタイプが多い。このようなタイプは速い真っすぐへの意識が強く、特に内角寄りの直球系の球に差し込まれないように備えている。

調子の悪い柳田は典型で、4回無死一塁からの三塁内野安打は内角寄りのカットボール、5回1死満塁からの左中間二塁打も内角寄りの149キロの真っすぐだった。最初の内野安打は打ち取った当たりとはいえ、どちらのヒットも初球であり、もう少し厳しいコースであればヒットにはならなかったと思う。甘く投げた赤星は、もちろん反省しなければならない。そしてリードする大城も、ソフトバンク打線の特性を考え直したリードが必要だろう。

巨人とソフトバンクの対戦で忘れられないのが、日本シリーズでの8連敗。この8試合で大城は6試合もスタメンマスクをかぶっている。当時も日刊スポーツで評論し、NHKでも解説をさせてもらっているが、今試合のように「力負け」をした印象が強く残っている。

外角一辺倒ではソフトバンク打線は抑えられない。そこで大事なのは「内角球」の使いどころ。この「内角球」の使い方が悪いから「力負け」の印象が残るのだと思う。

もちろん、巨人打線も速球派の本格派が多いソフトバンク投手陣に対し、力で抑え込まれている。投打で「力負け」するから「巨人はソフトバンクに弱い」というイメージが膨れ上がるのだろう。

日本シリーズ8連敗後の対戦成績も1勝5敗。2日の対戦では、プロとしての意地を見せてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

巨人対ソフトバンク 5回表ソフトバンク1死満塁、左前に走者一掃の適時二塁打を放ちポーズを決める柳田(撮影・たえ見朱実)
巨人対ソフトバンク 5回表ソフトバンク1死満塁、左前に走者一掃の適時二塁打を放ちポーズを決める柳田(撮影・たえ見朱実)