阪神が6月の最終カードの“頭”をとれず、上昇ムードが一気にしぼんだ。しかも、リーグ戦再開して以来、主戦の西勇が勝てないのは気になるところだ。

中西 本来のコーナーを投げ分ける西勇らしさが見られなくなった。もともと球速で抑え込むタイプではないが、制球力にしてもボールが中へ、中へと入ってしまって打たれているケースが目立っている。ただ、ずっとみていても、この試合までの防御率は1・99と安定しているのに負け越しているのは、西勇が投げるときは打線とかみ合っていないからだ。

西勇が13試合に先発した試合のチーム得点数は23点だから、1試合平均で1・8点と2点に満たない。阪神は1回に2点を奪ったが、後はさっぱりでDeNA大貫を立ち直らせた。逆に西勇は下降カーブを描いたから、両先発は対照的だった。

中西 ピッチャー心理からいっても打線の援護が乏しく勝ち星が伸びないのは精神的にきつくなって緊張感を保ちにくいものだ。大貫の投球はこれといったボールはなかったが、中盤にかけてリズム、間合いを変えるなど、工夫して投げてこられていたから、阪神打線のほうが絞りきれなかった。

西勇の防御率は2・50まではね上がった。今週のチームは下位に沈むDeNA、中日との6連戦だけに踏ん張りたい。

中西 西勇は気持ちを切り替えるしかない。前半戦はピッチャーが頑張ってきたから、夏場は打って点をとっていかないと簡単には勝てない。阪神は勝率を5割に戻し、貯金を1つ、2つもってオールスターを境に折り返せば、初めて上位を狙う追い上げムードが生まれるはずだ。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】