中日は球宴までの89試合を借金12の最下位で終えた。育成と勝利の両立を掲げて臨んだ立浪和義新監督(52)のシーズン前半は相次ぐ故障者もあり、苦闘の連続。日刊スポーツ評論家の権藤博氏は後半戦に向けた立て直し策として「先発陣の再整備」を提言した。

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中日は原点に戻り、先発ローテーション投手の再整備を最優先するべきです。「打てない、点が取れない」といまさら言ってもしようがない。バンテリンドームという「ピッチャーズパーク」を本拠地としている以上、投手を含めた防御力で勝利を重ねていくしかないわけですからね。

もちろん今季に限らず、来年以降も上位を目指すためには本拠地だけ勝てばいいというわけではありません。前半はホーム26勝22敗に対して、ロードゲームは12勝28敗1分け。課題の敵地対策としても先発投手の再整備は重要です。

この投手は屋外球場は苦手だからローテーションを変更します、などと言っていたらいつまでたっても苦手意識は克服できません。先発を6人で回すのであればその6人をまずはしっかり固めることです。相手や球場など、相性にこだわるのではなく、力のある投手から回していく。このベースを作り上げることです。

先発投手がしっかりゲームを作れば、いかに打てない、と言っても抑えにはR・マルティネスがいるのですから、そうは負けは込みません。他球団と比較して投手陣に関しては質も量も負けていないのですから、ドンと構えて正攻法で臨めばいいのです。

もちろん長年の課題である攻撃面は深刻です。これといった補強もなく、育成にとりかかった石川昂が故障するなど、現場は頭が痛いことでしょう。でも、バタバタしたって仕方ないじゃないですか。選手起用には常に根拠があるはずです。1度、使うと決めたなら、その選手を固定して使い続けるしかないのです。そうでなければ長いシーズンは戦い抜けません。先発陣を整備し、野手を固定する。後半戦はそんな戦いが見たいですね。(日刊スポーツ評論家)