楽天にとっては今季の命運を左右しかねないミスが、初回の攻撃で起きてしまった。

先頭の山崎が三塁打を放ち、先制点のチャンスが訪れた。ソフトバンク内野陣はまだ初回で定位置。三塁走者は投ゴロか強い当たりの三ゴロに対してだけ、飛び出すのを注意すればいい。それ以外の打球は転がったのを確認してからスタートを切れば、悠々と1点が入る状況だった。

だが鈴木大の投ゴロに山崎は飛び出した。三塁に送球され、完全にアウトのタイミングだったが、三塁手がタッチの際に落球。しかし、痛恨のミスをしてしまったと思いこみ、山崎はベースから離れて大の字に倒れ込んでいた。集中力の欠いたプレーでタッチアウトとなり、先制機を逃した。

序盤の流れから見ても痛すぎるプレーだった。ソフトバンクも直前の初回の攻撃でミスをしていた。1死一塁、打者は今宮でカウント3-1。ランエンドヒットを仕掛け、1死ならライナー性のヒットを狙いにいくのが通常だが、その意識があまり感じられないスイングで右飛を打ち上げた。

ソフトバンクの拙攻に乗じて楽天が先制すれば、展開が大きく変わったかもしれないが、走塁ミスで逆に流れを悪くした。球の切れも悪く、制球もバラついていたソフトバンク和田を立ち直らすきっかけも与えてしまった。

楽天は勝てば首位ソフトバンクに迫れるだけでなく、3位西武を逆転できる重要な一戦だった。痛い1敗だが、ミスは起きるものでもある。残り14試合でソフトバンクとオリックスと3試合ずつ、目前の西武とは17日から4連戦を控える。この教訓を残り試合でどう生かしていくかが大事になる。(日刊スポーツ評論家)