昨年の沖縄に続いて、今季は宮崎でキャンプを張るチームを視察してきました。キャンプが始まると「いよいよプロ野球が始まるな」という期待感が膨らむものですが、今年は開幕前にWBCも開催。個人的にも野球ファンにとっても、たまらないぐらい楽しみな1年が始まりました。

訪問先を順番に挙げると、ソフトバンク、巨人、広島、オリックスで、残念ながら西武はまだキャンプインしていませんでした。何しろ久しぶりで期間も短く、関係者へのあいさつやインタビューで手いっぱいだったのですが、巨人とオリックスのブルペンはじっくりと視察できました。

やはり目についたのは投手力で日本一を達成したオリックスのブルペンです。特にWBCに出場する山本、宮城のピッチングは圧巻。もう1人の宇田川は慣れないWBC球に苦しんでいましたが、投球練習以外の時間に1人でピッチング。まだ1カ月ほどあるし、仕上げてくると思います。

今キャンプで話題になっていたのが山本の新フォーム。左足をほとんど上げず、スライドさせるように踏み込んで投げるのですが、横から見る限り素晴らしい球を投げていました。

もう少し踏み込んで話をしましょう。一般的にピッチャーは軸足に体重を乗せ、そこから爆発させるように下半身の力をボールに伝えます。本人にフォーム改造を聞いてみたところ「右足から左足への体重移動をスムーズにして、しっかりと左足に体重がかかるようにするため」と言っていました。

投げる天才なのでしょう。昨年の成績は文句なし。並の投手ならフォーム改造などしないでしょうが、大胆すぎるほど変えています。現状に満足しない姿勢は超一流の証しでしょう。ボールの回転数や球速も昨年と変わらない数値が出ていると話していたし、後はクイックのように投げるフォームをバッターがどう感じるかだけでしょう。

巨人のWBC組の戸郷、大勢も素晴らしい出来でした。それでも新鮮で印象に残ったのは、4年目を迎える井上とドラフト5位の船迫大雅投手(26=西濃運輸)。井上はクロスファイアに決まる真っすぐに磨きがかかっています。先発として投げるスタミナがついて、右打者の外角に沈むチェンジアップが投げられるようになれば、かなり上のレベルのピッチャーになれるでしょう。船迫の球威も十分。こちらはリリーフタイプでしょうが、楽しみな即戦力だと感じました。

まだキャンプ序盤。WBCも楽しみだし、今年はどういうペナントになるのか楽しみにしています(日刊スポーツ評論家)

WBCに出場する3人がブルペンでそろい踏み。左から宮城、宇田川、山本(2023年02月02日撮影)
WBCに出場する3人がブルペンでそろい踏み。左から宮城、宇田川、山本(2023年02月02日撮影)
ブルペンで投球練習する巨人井上(2023年2月4日撮影)
ブルペンで投球練習する巨人井上(2023年2月4日撮影)
ブルペンで投球練習する巨人ドラフト5位船迫(2023年2月2日撮影)
ブルペンで投球練習する巨人ドラフト5位船迫(2023年2月2日撮影)