歴代最強の呼び声が高い侍ジャパンが、中国を8-1で下した。勝つには勝ったが、7回終了時は3点差。本来の力量差を考えれば“苦戦”と言われても仕方のないような内容だった。なんとも評論がしづらい試合ではあったが、ヌートバーと大谷の打撃内容には「さすがメジャー」と思わせるものがあった。

これだけレベルが違うと「やりにくさ」が出てくる。中国の投手陣の球速は130キロ台から140キロ台中盤まで。制球力も変化球もいまひとつだった。特に4回に3点目を奪うまでで8四球。打者の立場だと、ボール球は振ってはいけないという思いが強くなる。さらに球速がないため、タイミングを遅らせ気味にして、しっかりと引きつけて打とうとする。

これが悪いパターンにはまる切っ掛けになった。ボールを見極めようとする意識が強くなると、どうしても「見てから打ちにいく」となる。タイミングがワンテンポ遅くなり、スイングが硬くなる。そして無理にタイミングを遅らせて引きつけようとすると、バットは残るものの、どうしても上半身だけが投手側に流れてしまう。

こうなると遅いはずの真っすぐに詰まったり、変化球に詰まってしまう。村上、岡本はバットの出が悪くなっていたし、逆方向に打つ意識を持っていた源田も待ちきれずに引っ掛け気味に打ってしまっていた。

そんな中で、ヌートバーと大谷は、自分のスタイルで打てていた。大谷はボールゾーンの球に対しても果敢にスイング。追加点となる左翼フェンス直撃の二塁打も、見逃せばボールゾーンに沈むツーシームだった。選球眼がいいとされるヌートバーも、積極的なバッティングが目立っていた。

2人の打撃を簡単に説明するなら、自分が打てると思った球は、たとえボール球だろうと打ちにいくスタイル。見逃した球でも、打ちにいく中で見逃せていたものだった。大谷の4打席目は、カウント2-0から低めのボールゾーンに落ちるチェンジアップを豪快に空振り。バッター有利のカウントだけに、変にバットに当てようとせずにスイングできていた。

日本の打者は初戦の硬さがあったのだろう。強化試合で思うような結果が出なかった選手は、特に打てる球に対してもバットが出てこなかった。確かに好投手であれば難しいコースに決まった球はヒットにしづらいし、空振りも多くなる。それでも力の劣る投手なら、多少難しいコースでもバットに当てられるし、力負けもしない。

日本代表に選ばれる実力があるのだから「自分が打てなければ仕方ない」ぐらいに思って、攻撃的な気持ちを忘れないでほしい。そうなればバットを振れるようになるし、結果もついてくると思う。自分の力を信じて、プレーしてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

日本対中国 1回裏日本無死、初球を中前打とするヌートバー。投手王(撮影・垰建太)
日本対中国 1回裏日本無死、初球を中前打とするヌートバー。投手王(撮影・垰建太)