セ・リーグ首位の阪神がパ・リーグ最下位の楽天に敵地・仙台で足をすくわれた。

山田 則本と村上の投げ合いというより、阪神が楽天の好守に阻まれたといった感が強かった。則本もピンチで野手に助けられたのが大きかった。この敗戦を引きずることはないだろうが、ちょっと気になるのはノイジー、佐藤輝、木浪らが調子を落とし、好不調の選手が分かれてきたことだ。

3番ノイジーは浅村、山崎の好プレーもあって無安打で打率は2割4分1厘まで低下した。5番佐藤輝も2割3分まできた。

山田 打線が好調を持続したときは、下位がチャンスを作って、上につないで得点し、クリーンアップで仕留めてきた。大山が好調だけにノイジー、佐藤輝の不調はより目立つ。今年の阪神からはボールをよく見て、四球を選んでといった意識で戦っているのが伝わってくる。ただ調子が悪くなってくると、大事にいこうとするあまり積極性を失いがちになる。つまり甘い球を見送って、難しい球に手を出す傾向に陥りやすい。だからノイジーも常に追い込まれているようにみえるし、佐藤輝は丁寧に打とうとしているが、自分の打撃ができない。どこかでくる“波”だが、打てなくなったときに、いかに勝っていくかだろう。

村上は今季9試合目の登板(1試合は中継ぎ)で、リードしている展開からひっくり返されたのは、この一戦が初めてだった。

山田 パ・リーグでもっとも打線に苦しむ楽天だから、村上なら抑えるだろうと読んでいた。リズムもいつもと同じで、もったいなかった。本人はそんなそぶりはみせなかったが、投手は経験の少ない球場の“風景”に溶け込むのは難しいものだ。次の登板で結果が出ないと少し悩むだろうから、次回のマウンドが大事になってくる。【取材・構成=寺尾博和編集委員】