ロッテは4安打で5点を奪って、7安打2得点のDeNAを攻略した。打線を見れば決して強力打線ではない。3割バッターも、2ケタ本塁打の長距離砲もいない。相手チームに脅威を与える特別なものはない。
それでも確実に白星につなげる力が今のロッテにはある。これで交流戦も5割に戻した。やはりパ・リーグ首位を走るだけの戦い方ができている。それは相手がくれたチャンスを逃さない戦い方と言える。
野球では自力でチャンスメークして得点していくものと、相手のミスや四球を絡めてチャンスを広げていくケースがある。ロッテはまさに後者。そこで得点することで、チームは勝機を高めていく。
初回、先発浜口が制球に苦しむ中で2四球を絡めて、1死満塁から角中の走者一掃の二塁打で3点。7回に1点差と詰められた直後の8回、またしてもウェンデルケンが四球で走者を出すと、田村が2点タイムリーで突き放した。
この攻撃パターンは踏ん張る先発陣にとっては何よりの援護になる。先発メルセデスは、計算通りのピッチングで7回2失点と試合を作った。
右打者にはインコースへストレートで攻め、アウトコースへの緩い変化球。左打者にはアウトコースへのスライダー、ストレートでの出し入れで攻略。3回から連続4イニング3者凡退で、しっかり流れをつくったピッチングが光った。
これで先発の防御率はオリックスと並んで2・78でリーグトップ。強打とは言えない打線でしぶとく勝てるのは、先発陣の安定感と、勝機を逃さない打線が、きっちりかみ合っているからだろう。
最後、益田が通算200セーブで試合を締めくくったが、ファンにとっても、戦っている選手にとっても、会心の勝利と言える。投打でお互いに補完し合えるこの流れは、なかなか崩れそうにない。(日刊スポーツ評論家)