前半戦の最終戦は、予想通りに中4日のバウアーが先発した。これで交流戦が終わってから先発は、中10日で114球、中5日で105球、中4日で128球、中5日で113球、中4日で111球になった。「いくらなんでも投げすぎではないのか?」と思っていたが、やはり本来の闘争心に“陰り”が見えていた。

肉体的な疲労に、DeNAの守備のまずさが拍車をかけた。1点リードの5回、先頭打者の床田のセカンドライナーを牧がはじいてヒット。この走者がホームにかえって同点に追いつかれた。そして7回、ここでも先頭打者の床田のセンター前ヒットを桑原がグラブに当てながらはじいてしまい、ワンヒット、ワンエラーで二塁までいかれてしまった。そして2死二塁からの秋山のタイムリーも、ライトの蝦名が前に出てこられずにバウンドを合わせて捕球。チャージをかけていればホームでアウトにできた可能性があったが、2失点で負け投手になった。

DeNA対広島 7回表広島2死二塁、秋山に適時打を浴び、膝に手をつくバウアー(左)(撮影・江口和貴)
DeNA対広島 7回表広島2死二塁、秋山に適時打を浴び、膝に手をつくバウアー(左)(撮影・江口和貴)

言うまでもないが、守備のミスが絡まなければ無失点。いつもは味方のミスに怒りの表情を浮かべるが、がっくりとうなだれていた。怒りを抑えたというより、怒る元気もなかった感じ。同じ投手出身として、気の毒に思えた。

この敗戦をどう捉えるか? 後半戦に向けての課題と修正点が凝縮されていた。まず、バウアーの起用法だが、いくら本人が投げたいと言っても、ブレーキをかけてやる必要がある。メジャーで中4日で投げ続けていたとはいえ、1年半のブランクはある。蒸し暑い日本の夏場は疲労度が違う。球数も110球以上は多すぎる。この球数なら中5日で登板間隔を一定にして調整しやすいようにしてやるべきだろう。

大物メジャーを説得するのは気が引けるだろうが、ブレーキをかけるのは優勝するため。実力を疑問視しているわけではない。バウアーが離脱すれば逆転優勝の可能性は小さくなってしまうのだから「むしろ頼りにしているからケガをしないように管理させてもらう」と言えば、本人も納得するのではないか。これだけの投球内容であれば、他の投手の不平不満も出にくいと思う。

DeNA対広島 下を向くDeNAバウアー(撮影・宮地輝)
DeNA対広島 下を向くDeNAバウアー(撮影・宮地輝)

バウアー本人の反省も必要だろう。いつもバウアーが投げるときは守備のミスが多い。これはエラーすると怒るバウアーに対し、守備陣が動きが硬くなってしまうからだと思う。喜怒哀楽を出す選手は嫌いではないが、出し過ぎるのもよくないと思う。もちろん、プロである以上、そんなことで硬くなってエラーするようでは話にならない。それぐらいのプレッシャーでエラーするようでは優勝のプレッシャーにも耐えられない。しかし現状の実力がそのレベルなのだから、強い立場のバウアーが変わる努力をするのが先決だろう。

DeNAの先発陣は、今永と東が安定している。大きく落ち込むことはない。あとは登板数の多いバウアーが投げる試合で、どれだけ勝率を上げていけるかが大事。逆転優勝の最大のカギになる。(日刊スポーツ評論家)