阪神湯浅京己投手(24)の2軍降格が決定した。4点ビハインドの7回に登板し、1回4安打2失点と打ち込まれた。試合後、岡田彰布監督(66)が明言。日刊スポーツ評論家で元阪神投手コーチの中西清起氏(61)が湯浅の投球を解説した。

   ◇   ◇   ◇

岡田監督は湯浅の2軍行きを決断したが、私もこの日の投球を見ながら、1軍メンバーから外すべきだと思った。

先頭打者・松原への初球は内角へのストレート。決して悪いコースではなかったが、簡単に打たれた。投球フォームをチェックすれば、始動から体の正面が三塁側を向いている時間が短い。しっかりと体重移動ができていない状態で、打者に正対しているために、球持ちが良くない。だからバッターは投球が見やすい。左足の踏み込みも浅いので、下半身からパワーが生み出されていない。スピードガンでは150キロ前後が計測されているが、相手打者はスピードを感じていないはずだ。いわゆる「棒球」で連打された。

軸足に体重を乗せ、体の正面は三塁側を向きながら、限界まで粘って左足を踏み込む。下半身を先に動かしながら、上半身へと連動。この「捻転」の動作がパワーを生み出し、踏み込んだ左足が地面に反発することで、球に力が伝わる。それがキレのある球になる。湯浅は速い球を投げたい意識が強すぎるために、上体に頼り、踏み込みも浅い。だから投球そのものが淡泊に見える。

このまま実戦で投げ続けても同じ結果で、自信を失ってしまい、深みにハマるだろう。今はフォーム固めを優先すべきだ。こういう時は、ネットピッチングをやりながら、ゆっくりした動きで、体の使い方を頭の中で意識しながら、覚え込ませなければならない。

真っすぐとフォークが武器の湯浅はレベル的に高いものを持っている。本来の力があれば、7、8回という重要な局面を投げられるはずだ。ブルペン陣の人材は豊富だが、湯浅がいなければ、昨年のように1イニングを複数人でしのぐ継投をせざるを得ない場面も出てくる。2軍でじっくりと時間をかけて、作り直す必要がある。

巨人対阪神 7回、2失点しベンチへ引き揚げる湯浅(左から2人目)とコーチ陣と話す岡田監督(右)(撮影・上田博志)
巨人対阪神 7回、2失点しベンチへ引き揚げる湯浅(左から2人目)とコーチ陣と話す岡田監督(右)(撮影・上田博志)
巨人対阪神 阪神5番手の湯浅(撮影・前田充)
巨人対阪神 阪神5番手の湯浅(撮影・前田充)