開幕して調子の上がらない選手というのは、各チームに必ずいる。特に主軸を担う選手が不調だと、チームの勝敗に直結しやすくなる。ソフトバンクでいえば、試合前まで打率0割6分9厘、0本塁打で4番を務める山川の不振が勝てない要因のひとつに挙げられるだろう。どういう状態に陥っているのか、注目して見ていた。
いきなり結果を出した。初回2死一塁、西武の先発・渡辺の初球だった。見逃せばボールだと思えるような高めのカーブをフルスイング。左翼方向に引っ張った打球は、打った瞬間にホームランだと分かる先制2ラン。「やっぱり心配する必要はなかったかな」と思えたが、打ったのはホームランにしやすい高めに抜けた変化球。この打席前までの29打席で11三振。ボールゾーン気味の球だっただけに、まだ完全に復調したとは言いにくい状況だった。
そんな不安を完全に振り払ったのは、第2打席だった。3回裏2死二、三塁という場面で、一塁ベースが空いている状況だった。不振の山川といっても、1発は避けたい。西武バッテリーは少々のボール気味の球でも打ってくる山川に対して「臭いところを突いて、カウントが悪くなったら歩かせても構わない」というスタンスだったと思う。
そこで投じた初球は、外角の真っすぐで、ギリギリのボールゾーンだった。この球を山川は見逃しボールになった。ギリギリのボールを投げた場合、投手は気をつけなければいけない。もう少しストライクゾーンに近づけて投げたくなるもの。そして次の球は外角へのカットボール。前に投げた真っすぐより、少しだけ内側になるように投げたのだろうが、高めに浮いて甘くなった。右翼線へのタイムリーになった。
打ち方を見ても、強引になり過ぎず、打ちにいくポイントをいつもより引きつけていた。だから「あっち向いてほい」のような打ち方で、打球は逆方向に飛んだ。
ボールゾーンなら見逃せる準備ができていたのだと思う。結果が出ずに焦っていると、このような準備ができなくなる。第3打席もレフトオーバーのタイムリー二塁打。1人で5打点を挙げ、試合を決めた。
先発した上沢も6回を投げて無失点。移籍後の初勝利を挙げた。4番の山川も復調し、上沢まで勝ち星がついた。あと、ソフトバンクで心配なのは開幕投手を務めながら勝ち星のついていない有原ぐらい。突如、崩れる試合が2試合連続で続いているだけに、気になるところだろう。
ただし総合的にチームバランスが整っていて、この先、極端に負けが多くなるとは考えにくい。スタート直後でつまずいたが、強いソフトバンクは今年も健在だと思う。(日刊スポーツ評論家)




