日本ハムが23年春に開業を予定する新球場「エスコンフィールド北海道」は、開閉式の屋根を備え、天然芝などさまざまな特徴がある。

今回は筑波大硬式野球部監督で、動作解析の第一人者として知られる川村卓准教授(51)に、選手たちへの影響などを聞いた。【取材・構成 山崎純一】

建設が進む日本ハムのボールパーク=撮影日6月22日(撮影・山崎純一)
建設が進む日本ハムのボールパーク=撮影日6月22日(撮影・山崎純一)

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新球場の特徴として1番大きいのは、天然芝になることではないだろうか。筑波大准教授の川村氏は、選手の体への負担などに変化が出てくると予測する。

川村氏 野球は瞬間的にパッと動くようなスポーツをしているので、例えばゴー、ストップですね。切り返しの動きや踏ん張ったりするのは、これまでプレーしていた人工芝との動きと変わってくるかもしれないですが、天然芝になることでメリットはあると思います。

建設が進む日本ハムのボールパーク=撮影日6月22日(撮影・山崎純一)
建設が進む日本ハムのボールパーク=撮影日6月22日(撮影・山崎純一)

最近の人工芝は性能が高いものが多いものの、柔らかい天然芝の方が体への負担が軽くなるという。ダイビングキャッチやスライディングなど衝撃も和らぐため、ケガのリスクも低くなることから、選手にとっても思い切ったプレーができる。

川村氏 やはり天然芝と人工芝では負担度が本当にかなり違うんですよね。体への負担はボディーブローのように効いてくる。シーズン序盤はよくても、どんどんどんどん蓄積されていってしまうということですね。

北海道に本拠地を置くため、遠征時には飛行機での移動がメインの日本ハム。他チームとは違い、当然移動距離も長くなるだけに、足腰への負担軽減に影響が出そうだ。

建設が進む日本ハムのボールパーク=撮影日6月22日(撮影・山崎純一)
建設が進む日本ハムのボールパーク=撮影日6月22日(撮影・山崎純一)

もう1つの特徴は屋根が開閉式になること。風をはじめ、季節的な天候などの影響もあるのだろうか。

川村氏 開放していれば当然、天候の影響を受けやすいと思います。屋根を閉めて密閉された状態でも空気の流れが微妙に変わってきたりとか、多少の気圧の値も変わってくると思います。ですから外野のフライとか、打球なんかは影響が受けやすいのかなと。メリットとデメリットと両方あると思います。一概には言えませんが、そういうことも考えられます。

屋根が常時開放されているかどうかなど、試合中の状態で、打球の飛距離など選手のプレーにも少なからず影響がありそうだ。

日本ハムのボールパークが印字されたタオルを持つ筑波大准教授の川村氏(撮影・山崎純一)
日本ハムのボールパークが印字されたタオルを持つ筑波大准教授の川村氏(撮影・山崎純一)

◆エスコンフィールド北海道 建築面積5万平方メートル、収容人数3万5000人の開閉式の天然芝球場。地下1階の掘り込み式のフィールドを基点に観客エリアは地上4階建て。ガラス張りの巨大な壁があり、建物中層部にテラスや屋上庭園などを造る予定。


◆北広島市職員が建設中のボールパークにちなんだおそろいのポロシャツで業務に励んでいる。北海道ボールパークFビレッジを保有・運営する「ファイターズ スポーツ&エンターテイメント」の協力のもと、機運を高めようというのが狙いだ。市はクールビズ期間の6月から9月まで、毎月ゼロの付く日を「ポロシャツ着用による機運情勢推進日」と設定。企画財政部・ボールパーク推進室の杉原史惟主査(38)は「着心地もいいですし、みんなで着ているということで、職員としての一体感も生まれます」と話した。

オリジナルポロシャツを手にする北広島市企画財政部ボールパーク推進室の杉原主査(撮影・山崎純一)
オリジナルポロシャツを手にする北広島市企画財政部ボールパーク推進室の杉原主査(撮影・山崎純一)

◆球場建設は、6月末時点でスタジアム全体の進捗(しんちょく)が33%まで進んでいる。筑波大准教授の川村氏とともに札幌開成(現札幌開成中教校)で88年夏甲子園に出場した、北広島市の川村裕樹企画財政部長兼ボールパーク推進室長(51)は「おおむね順調にいっています。遠くからでも巨大なクレーンが見えるので、市民の方は日常に溶け込んできているみたいです。ほんとに形がみえてきたなという声は聞きますね」と声を弾ませた。

新球場建設の現状を語る北広島市の川村裕樹企画財政部長兼ボールパーク推進室長(撮影・山崎純一)
新球場建設の現状を語る北広島市の川村裕樹企画財政部長兼ボールパーク推進室長(撮影・山崎純一)

北広島市役所近くで、おしゃれなお店「Cafe小春日和」をみつけた。店主の伊藤史子さん(49)が17年7月にオープン、今年で4周年を迎えた。おすすめはメニューの内容が月替わりとなっている「小春日和ランチプレート」。野菜をはじめ道産の食材、旬の食材を使用し、栄養バランスの整ったヘルシーなワンプレートランチが人気を集めている。

北広島市内に店を構えるCafe小春日和(撮影・山崎純一)
北広島市内に店を構えるCafe小春日和(撮影・山崎純一)

江別在住の伊藤さんは自宅と店を行き来する度、大型クレーンが複数稼働し、新球場建設が進む様子を横目に刺激を受けている。「外観なんかも出来上がってきてわくわくしますよね。街自体もこれからかなり変わっていくのかなと思いますね」。過去に福岡で行われたビジター試合の観戦に足を運ぶなど、試合の様子を毎日チェックするという日本ハムファンの1人。観戦前後、野球の話をしながらスイーツを楽しむのもおすすめだ。【山崎純一】

北広島市内に店を構えるCafe小春日和(撮影・山崎純一)
北広島市内に店を構えるCafe小春日和(撮影・山崎純一)