ロッテ田村龍弘捕手(23)のコメントが面白い。適時打や本塁打を打った直後のものだ。

 オリックス19回戦(8月20日、京セラドーム大阪)0-1の2回2死、山本から同点の3号ソロ

 「打ったのはストレートです。初球はタイミングが合わなかったので、少しタイミングを早くしたらインコースのボールにうまく対応できました。昨日もヒットを打っていたので、自分がキャッチャーだったらインコースに攻めていくだろうと思うので、インコースは頭にありました。早めに追いつくことが出来て良かった」

 捕手らしく、バッテリーの攻めを読んで打った。もっと、興味深かったのは次のものだ。

 日本ハム18回戦(8月17日、札幌ドーム)2-6の6回2死一、二塁、田中豊から代打で2号3ラン

 「打ったのはスライダーです。カウント2-1だったので、ストレートは来ないと思って変化球を狙っていました。肩口から入って来てくれたのでね。いい場面で起用してくれたベンチの期待に応えることが出来て良かったです。この後の守りをしっかりして、逆転出来るように頑張ります」。

 「おやっ」と思った。カウントは打者有利のボール先行。単純に考えたら、バッテリーは3ボールにはしたくないから、直球で来ると思うのでは? 翌日、真意を聞いた。

 田村 自分が捕手だからです。カウント2-1から直球を投げて打たれるのは嫌。1-1からスライダーがボールになっていた。だからといって、簡単に真っすぐを投げて打たれたくない。変化球だろうと思ったら、ドンピシャでした。

 つまり、相手バッテリーの「逆をつく」という心理を読んで、真っすぐではなく、直前にボール球になっていた変化球と読んだのが当たったというわけだ。読みが当たっただけでなく、フェンスオーバーした技術も評価できる。

 昨季はベストナインに輝いたが、5年目の今季はベンチスタートも少なくない。苦労している。22日の楽天戦では石川と組んだが、7回までに6失点。途中交代させられた。試合後には、伊東監督から「配球が全然だめ。意図が見えなかった」とまで言われた。ただ、試合後、田村は自ら監督室をノックし、何がいけなかったのか聞いたという。23歳の若手には、なかなか出来ないことだろう。その姿勢がある限り、正捕手になる資格があると思う。【ロッテ担当=古川真弥】