どうしてもあきらめきれないのだろう。日本一奪回の大目標を前に「大砲」を欠いた工藤ホークス。首脳陣は右脇腹痛でリハビリ中の柳田に“ラブコール”を送り続けている。

 達川ヘッドコーチは言い続ける。「柳田には、はってでも出てこい、言うとるんよ。ピンチの後はチャンスじゃろ」。新聞に載る「柳田CS絶望」の文字を見つけると、すかさず担当記者の前にやってきて「まだまだわからんのじゃけえ」を連発。11日に荷物整理のためにヤフオクドームを訪れた柳田をつかまえて復帰を説いている。「柳田はまだ、痛いと言よったけどCSファイナル(開幕日の)の18日じゃのうてもええんじゃけ。19日でも20日でもええ。出てこられるんなら、それでええんじゃけ」。全治3週間の時間はとうに過ぎたが、まだ故障箇所の痛みは残っている。工藤監督もCS構想から柳田を外しきってないようだ。12日の紅白戦後、こう言った。「(柳田が)戻ってこないと決まったわけじゃないけど、最悪のことを考えて…」。言葉に復帰へのわずかな期待が垣間見えた。

 この日、紅白戦で紅組が8回ノーヒットノーランを食らった。先発バンデンハークら4投手を前に塁に出たのは四球の1度だけ。こうなりゃ、無理を承知で柳田復帰? いやいや、選手の故障には最も敏感な工藤監督だけに、その「剛腕」はないと思うが…。何とも踏ん切りがついていない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】