また、懐の深さを垣間見た気がした。日本ハムは今年のドラフトで、意中の早実・清宮を引き当てた。ドラフトから数日後、秋季練習が行われていた2軍施設の千葉・鎌ケ谷で斎藤佑樹と会った。開口一番、屈託のない笑顔で「清宮を、よろしくお願いします」と言われ、少し驚いてしまった。その笑顔は早大の後輩、有原が入団した時にも見た表情だった。

 清宮は早実の後輩で、プロでも同じチームになる。鳴り物入りで門出を迎えようとする清宮と、背水のシーズンとなる斎藤が、比較されてしまうことは否めない。だが、斎藤は自身の新人時代、球界の枠を超えて騒がれた。2軍施設周辺の道路は連日の大渋滞で、混雑緩和のため道路が拡張された。異常なほどの盛り上がりを経験しているからこそ「清宮を、よろしくお願いします」と、頭を下げられるのだろう。

 8年目を迎える来季へ、今年1月に続き米グアムで自主トレを敢行予定。「清宮も連れていこうかな」とジョーク交じりに話すほど、注目の的である後輩を気にかけている。復活への活力の1つになっている、後輩の存在。「一緒に頑張りたい」と笑って見せた。【日本ハム担当 田中彩友美】