横浜スタジアムの改修・増築工事がいよいよ始まった。東京五輪の開催年20年2月末までの予定で、段階的に両翼スタンドと、バックネット裏上段席を増設。岡村信悟社長は「多くの観戦機会を提供しないといけない」というように、収容人数を2万9000人から3万5000人にまで増やす。グラウンドは、人工芝を全面張り替え。既存の座席の色もオレンジから青へと、作り直している。

 その一方で、来季は我慢のときを迎えることになる。同社長は「物理的規制がかかるのは特に来シーズン。導線は著しく制限される」という。同スタジアムがある横浜公園には、すでに工事のために立ち入り禁止エリアが設けられている。シーズン中はビジター戦でパブリック・ビューイング(PV)のイベントが行われていたが、制限がかかる。「飲食、買い物に制限があるので心配」と危ぶむが、再来年の19年には3万3000人規模となり、20年には完全に生まれ変わるまでの辛抱だ。

 南場智子オーナーが「あらゆる可能性の中から考え抜きました」という新ハマスタの大枠が決まった。制約もある中で、知恵を振り絞ってできあがった青写真。すり鉢状で傾斜のあるハマスタならではの雰囲気はそのままに、町に溶け込む回遊性にこだわった。

 同社長は「ぜひ1度、ハマスタを航空写真でご覧になっていただきたい。近代を代表する横浜の町の中心にスタジアムが位置している」。東には中華街、大桟橋、横浜ベイブリッジへとつながっている。北に行けば横浜駅、南は三浦半島、西には国道1号線が通っている。横浜、神奈川全体を見据え、20年にニューシンボルとなって地図に記される。生みの苦しみを味わった先に、新たな歓喜が待っている。【DeNA担当=栗田成芳】