思わず緩む頬が、充実度を示していた。ヤクルトの春季キャンプが26日に終了。7年ぶりに復帰した青木宣親外野手(36=メッツ)は「ほんとバタバタだったので、どんなキャンプになるのかなと思っていたけど、うまく調整することもできた。体の状態もいいし、良い形で東京に戻れると思います」と声を弾ませた。

 青木にとっては、怒濤(どとう)の1カ月だった。5日に都内で正式契約を結び、その足で沖縄入り。6日に入団会見、7日にチームに合流と、慌ただしくキャンプをスタートさせた。

 だが、メジャー6年間で7球団に所属しつつ、結果を残した青木はさすがだった。打撃の状態を整え、21日の練習試合巨人戦では菅野から復帰後初安打をマーク。環境の変化にも適応し、ケガをすることなくキャンプを終えてみせた。

 特筆すべきは、チームにすぐに溶け込んだことだった。7年前に一緒にプレーをしていた選手は、畠山、武内、川端ら数人のみ。青木を前に、後輩たちが緊張するのは当然だった。そんな相手の心情を、しっかりとくみ取っていた。合流初日に「先輩ですけど、ガンガンいじってくれていいので」とあいさつ。自ら胸襟を開くと、練習中から緊張する若手にも積極的に声を掛けた。アップでも一緒に大声を張った。それを、笑顔で続けた。気がつけば、「背番号23」の周りには人が集まり、会話が広がっていた。「名前は言えないけど、ある選手は『バッティングフォームを見てください』って部屋に来て素振りとかしてね。ちょっと内気なというか『(このフォームで)いいんですかね』って選手もいたり。お互いが距離を詰めようという気持ちはあると思いますね」と、うれしそうに明かした。

 キャンプ終了時、沖縄・浦添では桜が咲きはじめていた。青木は「まだまだボールの見え方とか、良いところ悪いところがある。いろんな投手がいますから、いろんなボールを見てしっかり調整していきたい」と開幕までに万全に仕上げると誓った。帰ってきたミスタースワローズが新たな仲間とともに、神宮球場をファンの笑顔で満開にさせる日が、待ち遠しい。【ヤクルト担当 浜本卓也】