【オークランド(米カリフォルニア州)29日(日本時間30日)=本間翼、斎藤庸裕】価値ある「1」を記した。エンゼルス大谷翔平投手(23)が、敵地で行われたアスレチックスとの開幕戦に「8番指名打者(DH)」でメジャーデビューした。2回の初打席で初球をとらえ、右前に初安打を放った。伝説の名選手ベーブ・ルース以来となる本格的な「二刀流」挑戦の第1歩を打者として迎えた。試合は延長11回にサヨナラ負けを喫したが、記念すべき1試合目は5打数1安打、1三振だった。

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 一振りで結果を出したのが、なんとも大谷らしい。

 ルーキーイヤーの13年だ。7月の楽天戦で放ったプロ1号アーチは、2ボールから最初のスイングで右翼席中段まで運んだ一発だった。伝説となった「1番投手」での初球先頭打者本塁打も、プレーボールからわずか5秒後には打球がスタンドインしていた。

 ここぞの集中力。その一因は、普段の打撃練習にある。フリー打撃の最後の1球、だいたいの選手は、フライを上げたりファウルになったり、いわゆる「ミスショット」をすると、「もう一丁!」と声をかけて“おかわり”を要求する。いい感覚で練習を終わりたい、ミスで終わるとスッキリしないという気持ちになるのだ。

 だが、大谷は日本ハム時代から、どんな打球であろうと、時間が来れば必ずそのスイングで練習をやめる。空振りに近いファウルチップのような形になっても、だ。試合で「おかわり」はあり得ない。常に本番を想定して練習している表れであり、それがここ一番での集中力を生んでいる。【本間翼】