<日本生命セ・パ交流戦:ヤクルト9-5オリックス>◇10日◇神宮

 右肘手術から復活したヤクルトのエース小川泰弘投手(28)が7回4安打1失点と好投、2勝目を挙げた。

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 5月のある日、小川はある動画に目を留めた。小学6年の自分が、試合で投げている映像だった。「ライアン」の愛称が定着した今ほど左足を高く上げてはいなかったが、上げた足の太ももをグラブでたたく動作にくぎ付けになった。

 右肘手術後は、負担のかからないフォームを探した。ワインドアップを試すなどいろんな投げ方を模索したが、どれもしっくり来ていない。昔の動画を見たのは、そんな時期だった。「足を上げて『トーン』って感じでたたいて、ためを作ってますね。小さい時って体の知識もそこまでない中で体が投げやすい投げ方をしていると思うから理にかなっているかもしれない。やってみようと思いました」。原点に戻り、昔の映像を見てフォームを固めた。

 この日、取り組みが実を結んだ。軸足にしっかり体重が乗り、本来の力強い直球が両サイドに決まった。「フォームに関しては割とシンプルにやれている。だいぶ安定していると思うしいい感じです」と手応えを深め、小川監督からも「躍動感があった」と評された。幼少期から「体が小さくても抑えられることを証明する」のが夢だった。そんな思いを胸に無我夢中で投げ込んでいた“小川少年”から得たヒントで、ライアン小川がよみがえった。【ヤクルト担当=浜本卓也】