ヤンキース傘下マイナーに所属する加藤豪将内野手(23)と会うのは2度目だった。カリフォルニア州サンディエゴのランチョバーナード高から13年ドラフト2巡目でヤンキースに指名され、入団直後に取材して以来。少年らしさが残った風貌は大人びたそれにかわり、体も大きくなった。身長は188センチ、体重は今季開幕当初は90キロ、今は88・5キロ。マイナー球場の食事は劣悪で「かなりがんばらないと体重はキープできない」という。米国で生まれ育ったが、両親は日本人。日本語の言葉の端々には英語の発音が交じる。

 5年前にメジャーのドラフトにかかり、しかも日本の選手としてはかつてない上位指名だった。入団後、ルーキーリーグからスタートし、1Aで伸び悩んだ時期もあり今季初めて2Aトレントンに昇格。複数の同期入団選手がメジャー昇格を果たす中で焦りや葛藤も当然あった。「プロになってから前を見すぎているところがあった。先を見ちゃうと目の前の1球をミスしてしまう」と学んだ。

 今季は内野のすべてと左翼の5つのポジション、4番以外の全打順をこなす。「すべてのポジションにリズムがあるので、毎日違う位置で守るのは結構チャレンジ。レフトは人生初なので、毎日違うことを学べる」と必死だ。メジャーでは近年、ほとんどの球団が多くの役割をこなせるスーパーユーティリティー選手を欲している。それを目指しているのかと問うと加藤は「そうです。全部をメジャーレベルでやりたい」ときっぱり答えた。

 打撃に関しては今季から、球団GM付特別アドバイザーでマイナーを巡回している松井秀喜氏の指導を受け始めた。「小さいときから松井さんのフォームを見てまねをしていたので夢のようです。トレントンでは結構毎日、一緒にビデオを見て、直接アドバイスをもらってます」。実はオフの間は日本の打者のスイングを研究するのが趣味で、好きなスイングの打者は阪神鳥谷だという。二刀流で注目を集めるエンゼルス大谷とは同い年。どう思っているのかと尋ねると「大谷のスイングとかを分析するのも大好きです。がんばってほしい」とエールを送っていた。【水次祥子】