陰の立役者は、ベテランの味を醸し出していた。

 DeNAが25日中日戦(ナゴヤドーム)で連敗を3で止めると、試合後のラミレス監督の口から最初に出た名前は、好投した浜口でもなく、逆転3ランのソトでもなく、1軍野手最年長の32歳石川雄洋だった。

 6回の守備から二塁に入り、1死二塁で一、二塁間を抜ける当たり。横っ跳びで食い止めた。8回の打席では、きっちり犠打を決めた。まさに黒子役に徹した石川を監督がたたえた。

 石川は「とにかく当たり前のことを、しっかりできるようにすること。それですね」。試合の流れを読みながら、いつ出番がきてもいいように準備する。出てすぐに100%のパフォーマンスを出す難しさ。「交代したところに、打球は飛んでくるって言うじゃないですか。集中はいつもしているけど、より気をつける。まあ、できすぎですけどね」。そんな芸当ができるのは、体の準備と同時に心の準備ができていたから。

 ベイスターズ生え抜き14年目は、現所属選手では最長。元キャプテンとして、主将の筒香を陰で支える。「試合の流れを見ながら、ベンチの選手に『お前、そろそろ出番あるぞ』って声を掛けるんです。でもそのときは、自分だったからちょっとびっくりしました」。ちゃめっ気たっぷりの32歳。反撃を狙う後半戦、欠かせない存在になってくる。【DeNA担当 栗田成芳】