ソフトバンク甲斐野央(2019年4月4日撮影)
ソフトバンク甲斐野央(2019年4月4日撮影)

今川焼きでも回転焼きでもなく「御座候」。小学校の遠足では姫路城の天守閣に登った。そんな姫路出身の記者にとって、たまらない時間があった。

ソフトバンクがビジターでオリックスと戦った4日の京セラドーム大阪。ドラフト1位の甲斐野央投手(22=東洋大)があいさつに向かったのは、オリックス長谷川滋利SAだ。甲斐野の母校である東洋大姫路の先輩でオリックス、大リーグでも活躍した元投手。甲斐野にとっては「高校の時からもちろん、存じ上げています。レジェンドですから」という、雲の上の人に初めて対面した。「頑張れよと声をかけてもらいました」。激励を受け、感激していた。さらに、その時に甲斐野を長谷川SAに紹介したのがもう1人のレジェンド。現在オリックスで用具担当スタッフを務める松本正志氏だ。松本氏も同校OBで、77年夏の甲子園を制し姫路に唯一の優勝旗をもたらしたエース左腕だった。

2人のレジェンドの前で背筋を伸ばしたルーキー甲斐野はその日、3点リードの8回2死一、二塁で登板。きっちり抑えホールドを挙げた。ちなみに相手先発も東洋大姫路出身の松葉。負け投手にはなったが、6回途中2失点と粘投を見せた。松葉とは、甲斐野も高校時代から面識があり「ぼく自身はあまり意識しませんが、藤田監督は喜んでいるかもしれませんね」と母校の恩師を思いほほ笑んだ。

姫路で語り継がれる存在と、これから姫路の伝説になるかもしれない存在。そんな人たちが1つの球場で並ぶ。姫路生まれとして、勝手に誇らしい気持ちになった時間だった。【ソフトバンク担当 山本大地】

東洋大姫路出身の左から長谷川滋利氏、高校時代の松本正志氏、松葉貴大、甲斐野央
東洋大姫路出身の左から長谷川滋利氏、高校時代の松本正志氏、松葉貴大、甲斐野央