<ソフトバンク9-6ロッテ>◇8日◇ヤフオクドーム

V奪回を目指すソフトバンクにとってラストスパートはどん欲に勝利を追求するしかない。その意味では見事な逆転勝利だった。先に西武が仙台で楽天を下していただけに負けられない一戦をよく拾った。

ただ、やはりロッテはしぶとい。9日のカード最終戦で勝利しても、今季の対ロッテは10勝に届かない。記録のページをめくってみると、シーズン10勝未満のカードは16年の対日本ハム(9勝15敗1分け)以来、3年ぶりとなる。日本ハムに11・5ゲーム差を大逆転されV逸に泣いたシーズンだった。残り15試合の必勝モードは変わらないものの、この日の戦いを見てもCS以降を考えれば井口ロッテは何とも不気味な存在である。不調だったレアードが1発を含む3安打。「勝負はちょっとのところでね」。試合後、ハラハラドキドキの白星に王球団会長は戒めるように言った。

ロッテも2点リードの6回、無死一塁から藤岡が送りバントを決めていれば、流れをホークスに引き戻せなかったかもしれない。藤岡は前日(7日)に続いて2度の送りバント失敗。Aクラス入りを目指す中で「やるべきこと」はきっちりと修正するはずだ。昨年は王者西武をCSで撃破。2年連続の日本一をたぐり寄せたホークスだが、西武にしろ、ロッテにしろVロードの先にもさらに険しい道が待ち受けている。

接戦を制したホークスもしっかり自戒しなければいけない場面もあった。5回無死一、二塁から高橋純は投前バントのチャージが遅れ、あっさり二、三塁とされた。その後2失点である。「打った」「抑えた」の前に、緊迫戦ではたった1つのプレーが勝敗を左右する。厳しいが気は抜けない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】