オリックス神戸文也
オリックス神戸文也

17日にドラフト会議が行われた。オリックスはドラフト1位の興南・宮城大弥投手(18)を始め、支配下選手5人、育成選手8人を指名した。将来性を重視したドラフトとなり、今後の活躍に大きな期待がかかる。

今季のオリックスは16年ドラフト組の奮闘が光った。13勝4敗で最高勝率のタイトルを獲得した1位の山岡泰輔投手(24)を筆頭に、先発に再転向し、防御率1・95で最優秀防御率に輝いた4位の山本由伸投手(21)、開幕先発ローテーション入りし、3勝した育成2位の榊原翼投手(21)、今季5月に支配下選手登録を勝ち取り、2勝を挙げ、「プレミア12」の台湾代表入りを果たした張奕投手(25)らが頭角を現した。

そんな16年ドラフト同期入団組の中で、飛躍を遂げた右腕がもう1人いる。神戸文也投手(25)だ。立正大から育成3位指名で入団した右腕は今季7月に支配下選手登録をもぎ取り、8月10日の楽天戦(楽天生命パーク)で1軍デビューを飾った。中継ぎとして、19試合に登板。防御率は3・86で、プロ初勝利はお預けとなったが、切れ味鋭い直球とフォークを軸に、時には勝ちパターンで起用されるなど存在感を示した。

神戸の代名詞となりつつあるフォークは今季5月に現役を引退した元巨人の上原浩治氏(44)を参考にしたものだった。「左打者の外角に合わされるヒットが多くて、すごく嫌な打たれ方をされていた。何か相手の左打者が嫌がるボールはないかなと思って…」。立正大2年の冬に、当時米大リーグのレッドソックスに所属していた上原を特集したテレビ番組を視聴した。

「上原さんがフォークを3種類投げていると話していたんです。3つの動きをするという中の1つで、左打者の外に沈んで落ちるボールを投げていた。握りも説明していたので、試してみようと。大学3年生の時はスプリットを投げていたんですけど、なかなかうまくいかなかったんです」

大学4年時から本格的に上原“直伝”のフォークを投げるようになった。「真っすぐと同じ腕の振りでスプリットと同じような落ち方もしていたので、こっちの方が安定するなということに気づきました」。プロ入り後は150キロ超えの直球を磨き、得意球のフォークボールを生かした。

「今年は育成で最後の年だと思っていたので、悔いの残らないようにしたかったです」。執念で育成から支配下まではい上がり、神戸にとって大きな飛躍を遂げた1年になったに違いない。これからさらにどんな投手に成長していくのか、注目していきたい。【オリックス担当 古財稜明】

2016年のドラフト会議でオリックスから2位指名された立正大の黒木優太(左)と同育成3位で指名された神戸文也(2016年10月20日撮影)
2016年のドラフト会議でオリックスから2位指名された立正大の黒木優太(左)と同育成3位で指名された神戸文也(2016年10月20日撮影)