DeNAからポスティング制度で米移籍を目指す筒香嘉智外野手(28)が13日(日本時間14日未明)、レイズと合意したことが分かった。米メディアなどによると、2年契約で総額13億円前後となる見込み。

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「自分なんか取材しても、記事にならないですよ。誰も読まないんじゃないですか」

球団名にDeNAが入る前の2011年。横須賀の室内練習場で右手首痛からのリハビリに励んでいた筒香は笑いながらも、少し自嘲気味に言った。

この年は8月に1軍昇格し40試合に出場して8本塁打。まだまだ横浜を代表する打者と呼ばれる存在ではなかったが、オフには初の海外自主トレで渡米。帰国後は、アリゾナでの練習で使用したトレーニング器具を、自費で購入した。価格は200万円以上。当時の年俸は1300万円(推定)だったが、海外トレも含めて、自分への投資にちゅうちょはなく「今は、しっかりスイングできる体をつくることが大事」と力を込めた。

周囲からの評価に関係なく、己を高みに引き上げるために努力を重ねる姿は、今と全く変わらない。筒香入団時の横浜球団社長で“ハマの黄門さま”加治隆雄氏(享年74)は言っていた。「全く浮かれず足元が見えている男。間違いなく、横浜だけじゃなく、日本を代表するバッターになるね」。

あれから約10年。日本を代表する打者となり、そのプレーにDeNAファンのみならず、多くの野球ファンが注目する男となった筒香が、海を渡る。【佐竹実】