プエルトリコから帰国した翌日に体を動かすオリックスT-岡田(2019年12月26日撮影)
プエルトリコから帰国した翌日に体を動かすオリックスT-岡田(2019年12月26日撮影)

シャツごしに、引き締まった体を見て取れた。明るく、精悍(せいかん)な表情で、オリックスT-岡田がプエルトリコから帰ってきた。

昨年10月29日に大阪を出発し、同12月25日の帰国まで後輩の鈴木優、漆原とウインターリーグに参加。同行した沢村通訳は「ぼくが料理担当ですよ」と、大量のカレールーなどの食材で膨れ上がったスーツケースを携えて機上へ。実際、現地マナティではせっせと料理を作ってくれたそう。4人で借りた一軒家から球場に通って、野球して、10年本塁打王は32歳のシーズンを前に貴重な経験を積んだようだ。「行ってよかったです、本当に」と充実の笑顔で振り返る。プエルトリコの経験を20年につなげることに期待したい。

3年前のDeNAとのオープン戦開始前。相手主砲の筒香のフリー打撃を、京セラドーム大阪一塁側のベンチで数人のオリックス選手が見守っていた。その中の1人がT-岡田だった。

筒香は前年の16年、44本塁打、110打点で本塁打王、打点王に。17年の第4回WBC日本代表の4番が内定していた。まさに「日本の4番」の打撃練習を、オリックスの若手が食い入るように見つめる気持ちは理解できた。ただ、そこにT-岡田の姿を見るのは、履正社時代から取材してきた立場としては複雑だった。

その話を昨年末、初めて本人に伝えた。T-岡田には、他の選手から“見られる”立場でいてほしいと、勝手な言い分を伝えた。本人も、筒香を見ていた自分自身を覚えていた。

少し笑って「最近はすごい若手が出てきてますよね。うちでいえば吉田正尚とか」と言った。ただ、言葉を続けたとき、口元は引き締まっていた。「でも彼らに負けない気持ちはある。まだまだ負けない気持ちは持っています」と。

まだまだ、目に物を見せてほしい。吉田正が主軸に定着し、メジャーの超大物、アダム・ジョーンズ外野手(34=ダイヤモンドバックスFA)も新加入するが、負けない輝きを放ってほしい。17歳の夏に出会って以来、T-岡田とはそういう選手だと思っている。【遊軍 堀まどか】

右越え本塁打を放つ履正社時代のT-岡田(2005年7月25日撮影)
右越え本塁打を放つ履正社時代のT-岡田(2005年7月25日撮影)