沖縄キャンプで広島の「20プロジェクト」が発足した。ドラフト1位の栗林良吏投手(24=トヨタ自動車)が第3クール初日の11日、ブルペン入り前に「フォークを見てください!」と永川勝浩1軍投手コーチ(40)に弟子入りを志願。永川塾の門下生となり、決め球のフォークに磨きをかける日々を送っている。

永川コーチも現役時代に「20」を背負い、広島の投手として一時代を築いた。伝家の宝刀フォークを武器に、通算527試合に登板。球団最多となる165セーブを打ち立てた。19年に17年間の現役生活を終え、1年間空き番号だったものを栗林が引き継いだ。同コーチはキャンプ前まで「20を受け継いだ後輩」という特別な感情が湧いてくることを想像していたというが「そこまで思ったほどではなかった」と笑った。

11日の栗林のブルペン投球では、永川コーチが打席に立って投球を見守った。技術指導に加え「フォークの話はマニアックな話になって長くなるから、今後会話をしていきながらやっていこう」と伝えたという。「僕はフォークがなかったらプロ野球選手になれてないけど、彼はまた違った総合力もあると思う。その中でフォークが、彼にとっていいボールになってくれれば」とサポートを約束した。

19年9月23日に引退会見を行った永川コーチは「20」への思いを語っていた。

「次に20番をつける選手は北別府さんのように200勝できる投手。クローザーであれば球団新記録を塗り替えられるような選手になってもらいたいです」

栗林はまだ先発、リリーフの起用法は決まっていない。同コーチは「どっちをするにしろ、スーパーピッチャーになってほしいです」と大きな期待を抱いた。強力タッグを組んだ背番号20の成長物語に注目していきたい。【広島担当=古財稜明】

11日、ブルペンでフォークボールを投げる栗林
11日、ブルペンでフォークボールを投げる栗林