チームには元気印が必要だと思った。5日から3連戦で行われたソフトバンク-阪神のオープン戦。現地取材に訪れた記者は、ペイペイドームのホットコーナーから、ひときわ大きな声を聞いた。声の主はプロ16年目を迎える松田宣浩内野手(37)。4年連続日本一軍団には、今もなお元気なベテランがいた。

阪神にも元気な22歳がいる。2年目の育成選手、小野寺暖外野手だ。今春は1軍キャンプに抜てきされ、チームトップタイの2本塁打。2月4日に行われた罰ゲームの声出しでは、最後だった小野寺を待たずしてグラウンドを引き揚げていく先輩たちに「待て待てー、もうひとりいるよ~。育成の小野寺でーす。待て待てー。もうちょっと聞いてー。今日の紅白戦で全然ダメでしたが、まだ本気じゃありませーん。笑って~。支配下にしてくださーい!」と、悲痛の叫び。宜野座に爆笑を生んだ。

実戦では、試合前円陣の声出しをすることも多々ある。「僕が円陣したら勝つので…」と笑った。今回のソフトバンク3連戦でも全試合声出しを務め、2勝1敗。4年連続日本一軍団に勝ち越したのは、小野寺のおかげ? だったかもしれない。

そんな小野寺にも悩みがあるようだ。「キャンプから円陣しすぎてネタがないです。自分の体験談とかをしゃべって、最近は本当にネタがない。トレーナーの方と『どうしよう?』みたいな感じで『よしこれで行ったろう!』みたいな感じで助言をもらいました」。日々ネタを探す苦労は、記者も仕事として十分にわかる。

小野寺が支配下登録されれば、毎日声出しは小野寺でいいのでは? そう問うと「はい! 頑張ります」と元気よく返事してくれた。熱男ばりの虎の元気印になってほしい。【阪神担当 只松憲】

写真撮影で藤浪晋太郎(上段左から2人目)に帽子をいじられる小野寺暖(2021年3月3日撮影)
写真撮影で藤浪晋太郎(上段左から2人目)に帽子をいじられる小野寺暖(2021年3月3日撮影)