東日本大震災から10年が過ぎた。「3・11」に際し、被災者の1人でもあるロッテ佐々木朗希投手(19)が報道陣に対応した。

11日楽天戦の前に黙とうする佐々木朗希(中)ら
11日楽天戦の前に黙とうする佐々木朗希(中)ら

約13分間、思いを話した。特に印象に残る言葉がある。「地元に帰り、まだ復興できていないと感じる部分はありますか?」との問いにこう答えた。

「それは分からないですけど、震災後から比べたらすごく前に進んでいると思うので。そんなにすぐに大きくは変わらないと思うので、少しでも変わっていく姿はすごく大変だったと思うので、そこには僕はすごいな、としか思えないですね」

私個人の感想とほとんど同じで驚いた。復興が早いかそうでないか。住民であっても、第三者であっても、人それぞれ考えは違う。「遅い」という声がクローズアップされがちな世の中だとも感じる。

佐々木朗の故郷、岩手県陸前高田市は甚大な被害を受けた。市街地がほぼ全域、大津波に直撃された。人々が失意から立ち上がり、がれきを除き、更地にしてから工事が本格化した。山を削り、大規模なベルトコンベヤーで土を運び、土を盛って高台を造成。新たな街はかつての空中にある。10年でこんなに進んだのか、という印象だ。

この6年ほど、仕事で三陸に泊まる機会が多い。ホテルには工事関係者の姿が目立つ。この3月も大船渡市内のホテルに泊まった。朝食会場には朝一番で長い列ができ、皆黙々と食べ、現場へ向かっていく。復興は現在進行形で、懸命に進められている。

佐々木朗は「少しずつですけど変わっていくところを見て、やっぱり前に進んでることはすごくうれしいですし、僕自身ももっと前に進んでいけたらなと思います」とも言った。丁寧な歩みで確かな未来をつくる。【金子真仁】

12日中日戦の6回に2番手で登板したロッテ佐々木朗希
12日中日戦の6回に2番手で登板したロッテ佐々木朗希