ソフトバンク和田毅投手(40)が、おどけながら、報道陣にお願いした。「聖カタリナ学園が勝ったら、新聞でみなさん大きく取り上げて下さい」。プロ野球開幕前、最後のオープン戦登板前日の3月20日に取材に応じた時、最後にそう言った。
開催中の今センバツに出場した聖カタリナ学園(愛媛)の越智良平監督(40)は、いわゆる「松坂世代」で、和田とは早大の同級生。ともに4年間を過ごした仲だった。残念ながら初戦で東海大菅生(東京)にあと1歩及ばず敗れたが、創部5年目で初出場を果たした越智監督の大健闘に、和田も喜んだに違いない。
和田はコロナ禍の昨年5月、夏甲子園が中止となった時に、こんな提案をしたことを思い出した。「夏の県独自大会が開催されるのであれば、優勝チームには甲子園で1時間でも30分でも過ごさせてほしい。試合はできないまでも、土を持ち帰ることはできる」。実現はしなかったが、センバツ出場が決まっていたチームが1試合だけ行う交流試合が行われ、甲子園の土が全国高校球児に配られた。和田の思いは天に通じた。「今年、センバツが開かれたことはうれしいし、プロ野球も昨年と違って、満員ではないとはいえ、ファンがスタンドにいるなかで開幕できるので良かった」。不惑ながら開幕ローテーションを手にした左腕は、心から喜んだ。
多くの高校球児にとって甲子園は夢である。昔、高校球児だった私もその1人だったが、夢のまた夢に終わった。「先生になって野球部監督として甲子園を目指そう」という、夢を抱くようになったが、先生になるのも断念した。どうすれば「甲子園」に行けるのか。「新聞記者になれば甲子園取材に行けるかも」。その夢はかなった。記者1年目の夏は、沖縄水産が2年連続準優勝に泣いた年だった。夢を追い続けることの素晴らしさと大事さを感じた。
コロナ禍はしばらく終わりそうもない。苦しい生活は続くが、高校野球もプロ野球もJリーグも開催されている。スポーツが続く限り、人々の「夢」は終わらないだろう。【ソフトバンク担当 浦田由紀夫】




