緊急事態のヤクルトを“さとり世代コンビ”が救った。3月31日、西田と球団スタッフ1人が新型コロナウイルス陽性と判明した。濃厚接触者として、内川、青木、川端が13日まで自宅待機となり、主力が一気に抜けた。それでも、コロナ禍で戦った10日までの9試合は4勝2敗3分。開幕3連敗スタートから立て直し、勝率5割をキープしている。4番村上の奮闘ぶりが目立つが、塩見泰隆外野手(27)と山崎晃大朗外野手(27)の活躍が効いた。

3月31日、濃厚接触者の疑いがあるとして、現在戦線離脱中の4選手に加え、山田、西浦も欠いたDeNA戦。塩見は、プロ通算4度目の3番に抜てされた。3打点で勝利に貢献。激震に揺れた日に、バットでチームを勢いづけた。試合後「主力選手がいない中で僕らはチャンスだと思って。ここで結果を出してやろうという強い気持ちで試合に入った」と力を込めた。

山崎も1番に定着。「今いる戦力でやっていかないといけない。どれだけ1点を取るのが難しいか痛感している」と話しながらも、打率3割5分4厘と好調。チャンスメーカーとして力を発揮している。

ともに93年生まれ。世間では「さとり世代」と呼ばれている。バブル崩壊の頃に生まれ、不景気しか経験したことがない。欲がなく、合理性を求める世代と呼ばれる。しかし、ヤクルトの“さとり世代コンビ”は、Zoom取材で、まっすぐ前を見つめて意気込んでいた。その頼もしげな表情に、ピンチをチャンスに変えてやるという強い意志を感じた。

そんな文章を書く私も93年生まれ。貪欲に結果を求め、グラウンドで必死に戦う同学年たちの姿を見て、身が引き締まる思いだ。自分には何ができて、何を読者に届けられるのか。悟らず、がむしゃらに仕事をしていきたいと思う。【ヤクルト担当=湯本勝大】

DeNA対ヤクルト 7回表ヤクルト2死二、三塁、左適時二塁打を放つ山崎(撮影・野上伸悟)
DeNA対ヤクルト 7回表ヤクルト2死二、三塁、左適時二塁打を放つ山崎(撮影・野上伸悟)