<ソフトバンク2-1日本ハム>◇29日◇ペイペイドーム

ゆっくりと開いていくペイペイドームの屋根から差し込む日差しが何ともまぶしい。選手たちとの勝利のグータッチを終えてソフトバンク王球団会長は足取り軽く笑顔で関係者通路を歩いてきた。中村晃、真砂のソロ2発で日本ハムを沈め、チームの連敗を4で止めた。2本の快音を振り返るかと思ったら、王会長の開口一番は先発マウンドで好投した武田への賛辞だった。

「いやあ、今日は武田がよかったよね」。7回89球を投げ4安打の無失点投球。連敗中は投手陣が踏ん張りきれなかっただけに、背番号「18」の好投に王会長もほおが緩んだ。「連敗も止まったし、これで大阪でのオリックス戦も気分よく行けるよね」。普段は打者目線で話すことが多い王会長だが、さすがに「窮地」で快投を見せてくれた武田への称賛が口をついた。ネット裏の球団室で戦況を見守りながら、何度もガッツポーズをつくったことだろう。設置されたモニターとグラウンドを交互に見やり、投手心理や打者心理を解説する王会長の姿が目に浮かぶ。

もちろん、期待の男にも称賛を忘れなかった。不調のデスパイネに代わって先発出場した真砂だ。7回にライナーで今季1号を左中間テラス席に突き刺した。「いやあ、よく飛んだね。真砂はもともと飛ばす力はあるし、肩も足もあるからね」。右投手も苦にせず快音を響かせた真砂の背中をさらに押すように言葉を続けた。

「右投手からも打てば出番も増えるからね。これからも使われるだろうから、それをものにできるかだろうね」

入団会見で「3冠王を目指します」とビッグマウスを披露した真砂も9年目のシーズンを迎えた。新緑まぶしい季節にさらに上昇気流に乗れるか。王会長の言葉にも期待がこもっていた。【ソフトバンク担当 佐竹英治】