備えあれば憂いなし、だ。各球団が目指す“1勝”と“成長”の両立について、パ・リーグの首位を走る楽天の石井一久GM兼監督(47)が考えを明かした。

石井GM兼監督 勝ちながら育てたい。中期的な視点でチーム全体を育てていかないといけない。ひまわりでも2月に種をまいて、4月には咲かない。4月ぐらいに種付けして、夏にちゃんと咲くように、適切に適性のある時期、タイミングでやらないと、ちゃんと花咲かない。

直近で言えば、内野手の一角の三塁で、大卒6年目の主将茂木と高卒2年目の黒川が例に挙げられる。4日広島戦でスタメン出場した黒川が、プロ1号を含む自身初の3安打猛打賞と躍動した。ファームでは打率3割6分2厘とハイアベレージを誇るも、指揮官は「1軍に上げるならスタメンでいかないと意味がない」とチーム状況と黒川自身の状態を鑑みて、ファームでの成長を促す時期もあった。

石井GM兼監督 黒川にしてもそうだけど、いい時期、タイミングで育てていかないと、育っていくタイミングというのがあると思う。プラス、チームの勝つタイミングもある。何が何でも出す、ではしようがない。実際問題、サードなら茂木という咲いている花をどかしてどこかに置いていたら、チーム的にも腐ってしまう。両立して育てないといけない。そこは非常に難しい問題ではある。うちの内野手はみんなそこそこ完成されている選手が多い。“育てる”というのも一概に難しい問題。そういう意味ではジャイアンツの原さんが言いますが、DHがないと育つ速度が遅くなる、というのはあると思います。

GM就任後、浅村、鈴木大と実績のある選手を獲得。目の前の“1勝”を担保しながらドラフトで若手選手の層を厚くし、チームの活性化、好循環を促した。勝負に徹しながら、未来を作る。現状は「二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず」ではなく“二兎を追わなければ二兎を得ず”と言わんばかり。石井GM兼監督が目指す「骨太な常勝軍団」へ、着々とステップを踏んでいる。【楽天担当 桑原幹久】