最後の近鉄戦士が意地を見せる。ヤクルト坂口智隆外野手(37)が、1軍に戻ってきた。今季開幕1軍、開幕スタメンを勝ち取るも、3戦目の3月28日阪神戦(神宮)で右足に自打球を当てて登録抹消。以降2軍暮らしが続いた。14日、出場選手登録。正念場となる後半戦のスタートに、戦力として必要とされた。高津監督からは「今回エキシビションを見て、1軍に残そうと判断しました。すごく大きな戦力になってくれると期待しています」と信頼を寄せられた。

2軍では44試合に出場し、打率3割2分2厘、3本塁打、18打点。好調を維持し続けながら、若手とともに過ごした。エキシビションマッチで、約4カ月ぶりに1軍へ昇格。6試合で16打数7安打5打点と結果を示した。指揮官からは「うちに秘めてる闘志というのはすごく感じますね。気持ちというのはすごく感じますね。なんとかしたい、1軍のゲームに出たい、1軍のメンバーに入りたいという気持ちはすごく伝わってきています」と高評価。ひたむきさが、首脳陣に伝わった。

再びつかんだ1軍。出場すれば、通算1500試合の節目となる。02年ドラフト1巡目で近鉄に入団。コツコツとその数字を伸ばしてきた。気付けば、近鉄のユニホームに袖を通した最後の選手に。開幕前には「近鉄ファンの方の思いを背負えるか分からないですけど、個人的にはチームのためにプレーする姿勢を変えずに。目立った記録とか目立つ選手でもないので、そういうことをコツコツ1試合1試合積み重ねていく。知らない人も多いと思いますけど『坂口って近鉄やったんや』とか少しでも思ってもらえれば、始まりを作ってくれた球団への恩返しにもなると思います」と話していた。ひたむきにプレーするその背中には、さまざまな思いを背負っている。【ヤクルト担当 湯本勝大】

03年、近鉄ルーキー時代の坂口智隆(2003年2月24日撮影)
03年、近鉄ルーキー時代の坂口智隆(2003年2月24日撮影)