「多田くんは恋をしない」という名作アニメを先日、一気に見返した(2年ぶり4度目くらい)。多少のネタバレ込みで内容を説明すると、多田くんという恋愛には関心がなさそうな男子高校生が、どのように恋におちていくかを描いたハートフルな作品だ。「恋をしない」多田くんの感情が動くからこそ、見ているこちらも心を強く揺さぶられる。

野球も同じではないだろうか。「バントをしない」強打者の献身的な犠打や、「ガッツポーズをしない」クールな投手が見せる渾身(こんしん)の握りこぶし。その選手のプレースタイルに似つかわしくない、勝利にこだわる姿はファンにも感動を与えるし、味方には勇気を、対戦相手には恐怖やプレッシャーを与える大きなプレーになると思う。

自分の担当球団で言えば「鷹軍は奇襲しない」といったところだろうか。昨年はリーグ制覇。ここ4年連続で日本一の王者は堂々たる、ドッシリと構えた野球で強さを発揮してきた。だが今季は主砲グラシアルに抑えの森らが離脱する中、ここまで4位で苦しい戦いが続いている。打開するためにも、今こそ思い切った起用や戦い方を見たい。

底力のあるチームだ。「奇襲しない」ソフトバンクがなりふり構わぬ戦いを見せれば、ライバルチームにとってもかなりの脅威になると思っている。【ソフトバンク担当=山本大地】